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[日文]人间失格 作者 太宰治-第10章

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の切れめ、ってのはね、あれはね、解釈が逆なんだ。金が無くなると女にふられるって意味、じゃあ無いんだ。男に金が無くなると、男は、ただおのずから意気|銷沈《しょうちん》して、ダメになり、笑う声にも力が無く、そうして、妙にひがんだりなんかしてね、ついには破れかぶれになり、男のほうから女を振る、半狂乱になって振って振って振り抜くという意味なんだね、金沢大辞林という本に依ればね、可哀そうに。僕にも、その気持わかるがね」たしか、そんなふうの馬鹿げた事を言って、ツネ子を噴き出させたような記憶があります。長居は無用、おそれありと、顔も洗わずに素早く引上げたのですが、その時の自分の、「金の切れめが縁の切れめ」という出鱈目《でたらめ》の放言が、のちに到って、意外のひっかかりを生じたのです。それから、ひとつき、自分は、その夜の恩人とは逢いませんでした。別れて、日が経つにつれて、よろこびは薄れ、かりそめの恩を受けた事がかえってそらおそろしく、自分勝手にひどい束俊蚋肖袱评搐啤ⅳⅳ违榨à韦倍à颉ⅳⅳ螘r、全部ツネ子の負担にさせてしまったという俗事さえ、次第に気になりはじめて、ツネ子もやはり、下宿の娘や、あの女子高等師範と同じく、自分を茫趣工毪坤堡闻韦瑜Δ怂激铯臁⑦hく離れていながらも、絶えずツネ子におびえていて、その上に自分は、一緒に休んだ事のある女に、また逢うと、その時にいきなり何か烈火の如く怒られそうな気がしてたまらず、逢うのに頗《すこぶ》るおっくうがる性伲扦筏郡韦恰ⅳい瑜い琛€y座は敬遠の形でしたが、しかし、そのおっくうがるという性伲稀Qして自分の狡猾《こうかつ》さではなく、女性というものは、休んでからの事と、朝、起きてからの事との間に、一つの、塵《ちり》ほどの、つながりをも持たせず、完全の忘却の如く、見事に二つの世界を切断させて生きているという不思議な現象を、まだよく呑みこんでいなかったからなのでした。十一月の末、自分は、堀木と神田の屋台で安酒を飲み、この悪友は、その屋台を出てからも、さらにどこかで飲もうと主張し、もう自分たちにはお金が無いのに、それでも、飲もう、飲もうよ、とねばるのです。その時、自分は、酔って大胆になっているからでもありましたが、「よし、そんなら、夢の国に連れて行く。おどろくな、酒池肉林という、……」「カフエか?」「そう」「行こう!」というような事になって二人、市電に仱辍④ツ兢稀ⅳ悉筏悚い恰ⅰ袱欷稀⒔褚工稀⑴孙|え渇いているんだ。女給にキスしてもいいか」自分は、堀木がそんな酔態を演じる事を、あまり好んでいないのでした。堀木も、それを知っているので、自分にそんな念を押すのでした。「いいか。キスするぜ。おれの傍に坐った女給に、きっとキスして見せる。いいか」「かまわんだろう」「ありがたい! おれは女に铮fいているんだ」銀座四丁目で降りて、その所謂酒池肉林の大カフエに、ツネ子をたのみの綱としてほとんど無一文ではいり、あいているボックスに堀木と向い合って腰をおろしたとたんに、ツネ子ともう一人の女給が走り寄って来て、そのもう一人の女給が自分の傍に、そうしてツネ子は、堀木の傍に、ドサンと腰かけたので、自分は、ハッとしました。ツネ子は、いまにキスされる。惜しいという気持ではありませんでした。自分には、もともと所有慾というものは薄く、また、たまに幽かに惜しむ気持はあっても、その所有権を敢然と主張し、人と争うほどの気力が無いのでした。のちに、自分は、自分の内縁の妻が犯されるのを、黙って見ていた事さえあったほどなのです。自分は、人間のいざこざに出来るだけ触りたくないのでした。その渦に巻き込まれるのが、おそろしいのでした。ツネ子と自分とは、一夜だけの間柄です。ツネ子は、自分のものではありません。惜しい、など思い上った慾は、自分に持てる筈はありません。けれども、自分は、ハッとしました。自分の眼の前で、堀木の猛烈なキスを受ける、そのツネ子の身の上を、ふびんに思ったからでした。堀木によごされたツネ子は、自分とわかれなければならなくなるだろう、しかも自分にも、ツネ子を引き留める程のポジティヴな熱は無い、ああ、もう、これでおしまいなのだ、とツネ子の不幸に一瞬ハッとしたものの、すぐに自分は水のように素直にあきらめ、堀木とツネ子の顔を見較べ、にやにやと笑いました。しかし、事態は、実に思いがけなく、もっと悪く展開せられました。「やめた!」と堀木は、口をゆがめて言い、「さすがのおれも、こんな貧乏くさい女には、……」椋Э冥非肖盲郡瑜Δ恕⑼蠼Mみしてツネ子をじろじろ眺め、苦笑するのでした。「お酒を。お金は無い」自分は、小声でツネ子に言いました。それこそ、浴びるほど飲んでみたい気持でした。所謂俗物の眼から見ると、ツネ子は酔漢のキスにも価いしない、ただ、みすぼらしい、貧乏くさい女だったのでした。案外とも、意外とも、自分には霹靂《へきれき》に撃ちくだかれた思いでした。自分は、これまで例の無かったほど、いくらでも、いくらでも、お酒を飲み、ぐらぐら酔って、ツネ子と顔を見合せ、哀《かな》しく微笑《ほほえ》み合い、いかにもそう言われてみると、こいつはへんに疲れて貧乏くさいだけの女だな、と思うと同時に、金の無い者どうしの親和(貧富の不和は、陳腐のようでも、やはりドラマの永遠のテ蓼我护膜坤茸苑证辖瘠扦纤激盲皮い蓼工─饯い膜ⅳ饯斡H和感が、胸に込み上げて来て、ツネ子がいとしく、生れてこの時はじめて、われから積極的に、微弱ながら恋の心の動くのを自覚しました。吐きました。前後不覚になりました。お酒を飲んで、こんなに我を失うほど酔ったのも、その時がはじめてでした。眼が覚めたら、枕もとにツネ子が坐っていました。本所の大工さんの二階の部屋に寝ていたのでした。「金の切れめが縁の切れめ、なんておっしゃって、冗談かと思うていたら、本気か。来てくれないのだもの。ややこしい切れめやな。うちが、かせいであげても、だめか」「だめ」それから、女も休んで、夜明けがた、女の口から「死」という言葉がはじめて出て、女も人間としての営みに疲れ切っていたようでしたし、また、自分も、世の中への恐怖、わずらわしさ、金、れいの邉印⑴⒀I、考えると、とてもこの上こらえて生きて行けそうもなく、そのひとの提案に気軽に同意しました。けれども、その時にはまだ、実感としての「死のう」という覚悟は、出来ていなかったのです。どこかに「撸Г印工窑饯螭扦い蓼筏俊¥饯稳栅挝缜啊⒍摔锨巢荬瘟颏丹蓼瑜盲皮い蓼筏俊瞬璧辘摔悉い辍⑴H椁蝻嫟撙蓼筏俊!袱ⅳ胜俊Bうて置いて」自分は立って、袂《たもと》からがま口を出し、ひらくと、銅銭が三枚、羞恥《しゅうち》よりも凄惨《せいさん》の思いに襲われ、たちまち脳裡《のうり》に浮ぶものは、仙撸ю^の自分の部屋、制服と蒲団だけが残されてあるきりで、あとはもう、伲荬摔胜辘饯Δ胜猡韦我护膜鉄oい荒涼たる部屋、他には自分のいま着て步いている絣の着物と、マント、これが自分の現実なのだ、生きて行けない、とはっきり思い知りました。自分がまごついているので、女も立って、自分のがま口をのぞいて、「あら、たったそれだけ?」無心の声でしたが、これがまた、じんと骨身にこたえるほどに痛かったのです。はじめて自分が、恋したひとの声だけに、痛かったのです。それだけも、これだけもない、銅銭三枚は、どだいお金でありません。それは、自分が未《いま》だかつて味わった事の無い奇妙な屈辱でした。とても生きておられない屈辱でした。所詮《しょせん》その頃の自分は、まだお金持ちの坊ちゃんという種属から脱し切っていなかったのでしょう。その時、自分は、みずからすすんでも死のうと、実感として[#「実感として」に傍点]決意したのです。その夜、自分たちは、妗畟}の海に飛び込みました。女は、この帯はお店のお友達から借りている帯やから、と言って、帯をほどき、畳んで岩の上に置き、自分もマントを脱ぎ、同じ所に置いて、一緒に入水《じゅすい》しました。女のひとは、死にました。そうして、自分だけ助かりました。自分が高等学校の生徒ではあり、また父の名にもいくらか、所謂ニュウス.ヴァリュがあったのか、新聞にもかなり大きな問睿趣筏迫·晟悉菠椁欷郡瑜Δ扦筏俊W苑证虾^xの病院に収容せられ、故郷から親戚《しんせき》の者がひとり駈けつけ、さまざまの始末をしてくれて、そうして、くにの父をはじめ一家中が激怒しているから、これっきり生家とは義絶になるかも知れぬ、と自分に申し渡して帰りました。けれども自分は、そんな事より、死んだツネ子が恋いしく、めそめそ泣いてばかりいました。本当に、いままでのひとの中で、あの貧乏くさいツネ子だけを、すきだったのですから。下宿の娘から、短歌を五十も書きつらねた長い手
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