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白夜行:日文版-第14章

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 流し台に向かって夕飯の支度をしながら雄一の母がいった。その手元をみて、今夜もまたジャガイモの天ぷららしいぞと思い、雄一はうんざりした。母の郷里から先日大量に送られてきて以来、三日に一度はジャガイモが食卓に出る。
 二階の部屋へ行くと、菊池|文彦《ふみひこ》が四畳半の真ん中に胡座《あぐら》をかいて映画のパンフレットを見ていた。雄一が四日前に見た『ロッキ护韦猡韦馈
「この映画、面白かったか?」雄一を見上げて菊池は訊いた。パンフレットは、シルベスタ?スタロ螭违ⅴ氓驻搐盲皮い腠摛_かれていた。
「面白かったで。結構感動した」
「ふうん。みんなそういうてるなあ」
 菊池は背中を丸め、なおもパンフレットを眺めていた。欲しいのかなと思ったが、雄一は黙ったまま着替えを始めた。このパンフレットをやるわけにはいかなかった。欲しければ自分だって映画館に行けばいいのだ。
「けど映画代、高いもんなあ」菊池がぽつりといった。
「そうやな」
 雄一はスポ磨啸氓挨槌訾筏骏幞椁蚧紊悉酥盲取⒈长猡郡欷虮Гà毪瑜Δ艘巫婴丝纭钉蓼郡筏盲俊>粘丐现伽韦いび讶摔我蝗摔坤⒈摔冉黏卧挙颏工毪韦峡嗍证坤盲俊>粘丐渭窑夏缸蛹彝イ恰⑸瞍啶筏い长趣悉饯紊恧胜辘椁猡铯搿W苑证韦趣长恧悉趣辘ⅳà焊赣Hがまともに働いているだけでも幸せだと思っていた。父は鉄道会社の社員だ。
「また撮影か?」カメラを見て菊池が訊いた。にやにやしているのは、雄一が何を被写体にしているのかを知っているからだろう。
「まあな」雄一もにやにや笑いを返した。
「ええ写真、撮れたか」
「どうかな。けどわりと自信はある」
「それでまた一儲《ひともう》けか」
「そんなに高く売れるもんか。材料費がかかるし、ちょっとでもプラスが出ればええほうや」
「けどそういう特技があるのはええで。うらやましいわ」
「特技ていうほどでもない。このカメラの使い方もようわかれへんし、適当に撮って、適当に現像してるだけや。何しろ全部貰|《もら》い物やから」
 現在雄一が自分の部屋として使っているこの部屋には、かつて父の弟が住んでいた。写真を趣味にしている人物で、カメラをたくさん持っていた。白凑妞维F像や焼き付けができる程度の簡単な道具も備えていた。その叔父が結婚して家を出た時、それらの一部を雄一に残していってくれたのだ。
「ええよなあ、そういうものをただでくれる人がいて」
 菊池がまた妬《ねた》みめいたことを口にしそうな気がしたので、雄一は少し憂鬱になった。こういう話の流れになるのを避けているのだ。ところが菊池のほうは、わざとかそれとも無意識か、時々自分から貧富に関する話に持っていく。
 しかし今日は摺盲俊>粘丐暇Aけていった。「この前、叔父さんが撮った写真を見せてくれたやろ」
「町の写真か」
「うん。あれ、まだあるか」
「あるよ」
 雄一は椅子を半回転させて机に向かうと、本棚の端にさしてあるスクラップブックに手を伸ばした。それは叔父が置いていったものの一つだった。中には写真が数点挟まれていた。いずれも白恰ⅳ嗓Δ浃椁长渭窑谓虼橛挨筏郡猡韦韦瑜Δ坤盲俊O冗L菊池が撸Г婴死搐繒r、写真の話のついでにそれを彼に見せたのだった。
 スクラップブックを渡すと、菊池はずいぶん熱心に写真を一枚一枚眺め始めた。
「何や、いったい」雄一は、菊池の少し太めの身体を見下ろして訊いた。
「いや、ちょっとな」はっきりしたことをいうかわりに、菊池はスクラップブックから写真を一枚抜き取った。「この写真、貸してくれへんか」
「どの写真?」
 雄一は菊池の手元を覗き込んだ。やはり町中を写したものだった。どこかで見たことがある細い通りを、二人の男女が歩いている。電柱のポスタ习钉稀筏欷饯Δ摔胜盲骑Lに揺れ、手前のポリバケツの上には猫がうずくまっていた。
「こんな写真、どうするんや」と雄一は尋ねた。
「うん、ちょっと、見せたい奴《やつ》がおるんや」
「見せたい奴? 誰や」
「それは、その時に教える」
「ふうん」
「貸してくれよ。かめへんやろ」
「まあええけど、変な話やな」雄一は菊池の顔を見ながら写真を渡した。菊池はそれを受け取ると、大事そうに自分の鞄に入れた。
 この夜夕飯を食べ終えると、雄一は自室にこもって昼間撮影した写真の現像を始めた。フィルムの現像に関しては、暗室がわりの押入の中でフィルムを専用容器に収めてしまえば、後は明るいところで作業ができる。定着を終えたところで、彼はフィルムを容器から取り出して、一階の洗面所で水洗いを始めた。本来なら水を出しっぱなしにして一晩放置しておきたいところだったが、そんなことが母に見つかったら文句をいわれるのはわかりきっていた。
 水洗いの途中で、雄一はフィルムを蛍光灯で透かしてみた。唐沢雪罚Г误姢纹F《つや》が、見事に陰画となっているのを確認して彼は満足した。大丈夫、これなら客も満足するに摺い胜い茸孕扭蛏瞍幛俊

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 眠る前に日記を書くことは、川島|江利子《えりこ》の長く続いている習慣の一つだった。初めて書いたのは小学校の五年生に上がった時だから、足掛け五年ということになる。彼女はこのほかにもいくつか習慣を持っていた。登校前に庭の植木に水をやること、日曜日の朝には部屋の掃除をすることなどだ。
 ドラマチックなことを書く必要はなく、素気ない文章でも構わないというのが、江利子が五年間で学んだ日記を続けるコツだ。本日は特に変わったことはなし、でもいい。
 しかし今日は書くべきことがたくさんあった。放課後、唐沢雪罚Г渭窑剡'びに行ったからだ。
 雪罚Г趣现醒辘摔胜盲瞥酩幛仆弗楗工摔胜盲俊¥坤伺韦长趣蚪婴稀⒁荒晟螘rから知っていた。
 理知的な顔立ち、上品だが隙のない身のこなし。江利子は彼女に、自分や自分の周りにいる友人たちにはないものを感じていた。それは憧《あこが》れといってもよかった。何とか彼女と友達になれないだろうかと、ずっと思い続けてきたのだ。
 だから三年で同じクラスになった時には自らを祝福した。そして始業式の直後、思い切って話しかけてみたのだ。
「友達になってくれない?」
 これに対して唐沢雪罚Г瞎钟牑饯Δ仕卣瘠辘先姢护骸⒔婴诖筏恳陨悉涡︻啢蚋·伽俊
「あたしでよければ」
 いきなり話しかけてきた相手に対して、精一杯の好意を示そうとしてくれているのがよくわかった。無視されるのではと不安だった江利子は、その微笑みに感激さえ覚えた。
「あたしは川島江利子」
「唐沢雪罚Г琛工妞盲辘缺伺厦麃った後、一つ小さく頷いた。自分のいったことに対して、確認するように頷くのが彼女の癖だということを、江利子はその後少ししてから知った。
 唐沢雪罚Г辖婴hくから眺めて想像していた以上に素晴らしい『女性』だった。感性が豊かで、一緒にいるだけで多くのことを再発見できた。また雪罚Г匣嵩挙驑Sしくすることでも天性の才能を持っていた。彼女と話していると、自分までもが話し上手になったような気がするのだ。しばしば江利子は、彼女が自分と同い年であることを忘れた。だから彼女のことを日記で何度も、『女性』と表現するのだった。
 そんな素晴らしい友人を持っていること自体が江利子には誇らしかったのだが、当然彼女と友達になりたがる生徒は少なくなく、彼女の周りにはいつも同級生たちが群がっていた。そんな時江利子は軽い嫉妬《しっと》を感じた。大切なものを奪われたような気になるのだ。
 だが何より不快なのは、近くの中学校の男子生徒が雪罚Г未嬖冥藲荬扭い啤ⅳ蓼毪钎ⅴぅ丧毳骏欹螗趣扦庾筏Δ瑜Δ吮伺沃埭辘顺雒护工毪瑜Δ摔胜盲郡长趣坤盲俊O热栅馓逵问跇I中、金網によじのぼってグラウンドを覗いている男子生徒がいた。彼等は雪罚Г巫摔蛞姢膜堡毪取ⅳ郅芾猡胜缕筏噬颏ⅳ菠毪韦坤盲俊
 今日も下校時に、トラックの荷台に隠れて雪罚Г涡凑妞虼椁盲皮い胝撙い俊¥沥椁辘纫姢郡坤堡坤ⅴ衰用妞巍⒉唤】丹暑啢膜颏筏磕凶由饯坤盲俊¥い摔獾退驻释毪穷^をいっぱいにしていそうなタイプに見えた。その妄想の材料に雪罚Г涡凑妞工铯欷毪猡筏欷胜い人激Δ冉婴胜嗓贤陇瓪荬虼撙筏饯Δ摔胜毪韦坤⒌堡窝┓'は全く意に介さない様子だ。
「ほうっておけばいいよ。どうせそのうちにあきるだろうから」
 そしてまるでその男子に見せつけるように髪をかきあげるしぐさをする。向こうの男子があわててカメラを構えるのを、江利子は見逃さなかった。
「でも不愉快やないの? 勝手に写真を撮られるのなんて」
「不愉快だけど、むきになって文句をいったりして、結果的に連中と顔見知りみたいになってしまうほうが余程いやだもの」
「それはそう
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